第一回、なんでもQ&A!



ファルカス(以下フ)「終わったな、『ザ・スペリオル』……」

サーラ(以下サ)「終わったねぇ……」

ニーナ(以下ニ)「終わってないよ! むしろこれからだよ!」

フ「そうかあ……?」

ニ「そうだよ! だってまだ――」

フ「あ、そうか。まだマルツとの邂逅のエピソード、語られてないもんな」

ニ「ボクとの邂逅のエピソードだよ!!」

フ「お前との邂逅は、なんか、いま(マテそば時)になって思うと、ないほうがよかったかな〜、と思うこともしばしばだったり……」

ニ「ひっ、酷いよ、ファルカスくん! ボクがいなかったら、『ザ・スペリオル』の第二章でサーラさんは――」

サ「はい、ストップ。それ以上言ったらネタバレになっちゃうでしょ。それよりもファル、そろそろ本題」

フ「あ、ああ、そうだな。じゃあ、コホン」

ニ「第一回、なんでもQ&A!」

フ「人のセリフをとるなあぁぁぁっ!! って、おい、第一回ってことは、第二回もあるのか……?」

ニ「あ、『Q&A』は『キューアンドエーイッ!』って読んでね。お姉さんからのお願い♪」

フ「無視するなよ! 大体、誰がお姉さんだ、誰が! この見た目は子供の大年増!」

ニ「言ってはならないことを……!」

サ「ニーナちゃん、右手に持っているそれって、<聖魔滅破斬(ワイズマン・ブレード)>……!」

ニ「よくも人が気にしてることを〜!!」

フ「待て、ニーナ! それはシャレに……って、うわああぁぁ〜!」

サ「ごめん、ファル。今回はわたし、ちょっと止めに入れないや。なんか、ニーナちゃんに同情しちゃったっていうか……」

ニ「さて、お約束どおりファルカスくんがボロボロになったところで、本題に入ろうか」

サ「冒頭でボロボロになったのは、さすがに初めてだと思うけどね。というかニーナちゃん。まず仕舞おう、その剣」

ニ「あ、そうだね」

サ「ふう。わたしまで攻撃されたらたまらないもんね……」

ニ「まずひとつ目のしつも〜ん! えっと『ブラッドはなんのために『暗闇の牙(ダーク・ファング)』を組織したんですか?』だって。これはファルカスくんに答えてもらうのがベストだね。なんといってもその組織にいたんだし」

サ「……ニーナちゃん。ファル、いまどうなっているか、わかってる……?」

ニ「あ、そういえばもうボロボロにしちゃったあとだったね。……てへっ♪」

サ「『てへっ♪』って……。なんか今回、すごく媚びを売ってない? ニーナちゃん……」

ニ「『夜明けの大地』ではボクの出番、なかったからね。読者さんにボクの存在をしっかり印象づけないと」

サ「そんなことしなくても忘れられてないよ、ニーナちゃんのキャラなら。……とりあえず、ファルを回復させようか?」

ニ「あー、いいよいいよ。放っておこう。この質問は後回しってことにして」

サ「いいの? えっと、じゃあ次の質問は『ドラゴンってどんな存在ですか?』だって。世界観に関する質問だね」

ニ「どうする? ボクが答えちゃう?」

サ「ニーナちゃんには他に答えてほしい質問があるからね。ここはわたしが答えるよ。ええと、これはまず『モンスター』という存在から解説する必要があるかな。
モンスターっていうのは、本来はこの世界に住んでいたわけじゃないんだよね。元々は魔族同様、『魔界』に住んでいた『生物』らしいんだ」

ニ「でも第一次聖魔大戦のときに、この物質世界に来ちゃったんだよね。まあ、来ちゃったというよりも、魔界から放り出された、と言うべきかもしれないけど」

サ「そうだね、そう考えるとモンスターの立場って、ちょっと理不尽。それで、そういう『魔界の生物』の呼称は『魔界獣(まかいじゅう)』って言うんだけど、その強さは様々。そこで人間は魔界獣をその強さによって二つに分類したんだ」

フ「それが『モンスター』と『魔獣』だな。弱いほうが前者、強い奴が後者」

ニ「あ、復活したね、ファルカスくん」

フ「おう。せっかくの出番だっていうのに、いつまでもダウンしてられるかってんだ!」

サ「そこはかとなく江戸っ子風味だね、ファル。『てやんでい!』とか言っても違和感なさそう(笑)。それはそれとして、いまファルカスが言った『魔獣』にカテゴライズされてるんだよね、ドラゴンは」

フ「だな。特徴は、知能が高いことか。人語を解し、自らそれをしゃべるドラゴンも多い。まあ、稀に知能の低いドラゴンもいるにはいるが」

サ「主な種類を挙げるなら、ファイア・ドラゴンにレッド・ドラゴン、ブルー・ドラゴンにホワイト・ドラゴンとかがいるね。もちろん、まだ人間とかかわりを持っていない未知のドラゴンもいるだろうけど」

ニ「あ、神族四天王の一柱、竜王(ドラグ・マスター)と魔王の翼の一翼、火竜王(フレア・ドラゴン)はドラゴンの一種じゃないよ。というか、魔界獣ですらない。なんていうか、格がまったく違うんだよね」

サ「こんなもんでいいかな?」

ニ「いいんじゃないかな? じゃあ、次の質問にいこうか?」

フ「おうっ!」

ニ「ファルカスくん、なに張り切ってるの? 次の質問は『神・魔族の組織はどういう感じですか?』だよ?」

フ「ええっ!? オレへの質問は!? あっただろ、さっき!」

ニ「言ったじゃん。後回しって」

サ「ニーナちゃん、酷い……」

ニ「ともあれ、これはボクじゃないと答えられないかな」

フ「得意げになりやがって……」

ニ「コホン。じゃあまずは神族のほうから。聖王こと聖蒼の王(ラズライト)スペリオルが頂点に君臨してはいるんだけど、彼女、けっこう適当な性格をしているというか、神族の指揮はすべて、右腕である光の戦士(スペリオル・ナイト)ゲイルに任せてるんだよね」

フ「いいのか、それで……?」

サ「人それぞれじゃなくて、神それぞれなんだね……」

ニ「そうだね。スペリオルの作った神族四天王も性格バラバラだから、十人十色というか、十神十色って感じではあるね。
で、その神族四天王の名前はそれぞれ、霊王(ソウル・マスター)アキシオン、竜王(ドラグ・マスター)アッシュ、雷王(ヴォル・マスター)アトラクター、妖王(フェアル・マスター)ティランクル。
でも、命令系統がしっかりしているのって、ここまでなんだよね。下級の神族っていうのがいないわけじゃないんだけど、皆、けっこうバラバラに動いているから」

フ「ダメじゃないか、それ……」

サ「なんか、改めて聞いてみたら不安になってきちゃったよ。大丈夫なのかな、この世界の神様たち……」

ニ「まあ、スペリオルを作ったのがボクだからねぇ。そのスペリオルが作った神族である以上、多少は勝手な性格にもなるかな〜、なんて」

フ「あ〜、なんかすごい納得……」

ニ「しっ、失礼な! ちょっと冗談で言ってみただけなのに!」

サ「ごめん、ニーナちゃん。わたしも思いっきり納得しちゃった……」

ニ「サーラさんまで!?」

サ「ええと、それでニーナちゃん。じゃあ魔族のほうは?」

ニ「それはサーラさんたちもそれなりに知ってると思うけど、まあ、一応解説しようか。
魔族のほうはね、まず頂点にいるのが魔王こと漆黒の王(ブラック・スター)ダーク・リッパー。彼はリーダーシップに溢れてるんだけどね、やっぱり魔族の指揮は、右腕の暗黒の戦士(カオス・ナイト)デュークに丸投げしてるんだよね」

フ「聖王が聖王なら、魔王も魔王だな……」

サ「とりあえず、あんな感じの神様でも世界を護れている理由がわかった気がしたよ。よく考えてみたら、どっちも界王(ワイズマン)が創った存在だしね」

ニ「言っておくけどさ。魔王がまともに魔族を指揮できないのって、あともう少しで魔族をまとめられるってところで、毎回ファルカスくんやサーラさんを始めとした『希望の種』にやられちゃってるからなんだよ? そのあたり、自覚ある?」

フ「……なるほど」

サ「でもでも、こっちも命がかかってるわけだし……」

ニ「うん。だからとやかく言うつもりはないけどね。さて、次に魔王が創った部下だけれど……」

フ「魔王の翼(デビル・ウイング)だな」

サ「あとはそれが創った部下――『高位魔族』たち?」

ニ「そうだね。まず魔王の翼と呼ばれる四体の魔王たち。名前は地界王(グラウ・マスター)ノームルス、海王(ブラック・シー)ウンディネス、火竜王(フレア・ドラゴン)サラマン、そして魔風王(ダーク・ウインド)シルフェス」

サ「……あれ? 『高位魔族』たちのことは?」

ニ「解説してもいいけど、ネタバレ禁止部分には『×××』が入っちゃうよ?」

フ「それでも、なにも解説しないよりかはいいんじゃないか?」

ニ「そう? じゃあ、それぞれが創ったのが『高位魔族』と総称される地闘士(ファイター)×××××、海魔道士(ウィザード)××××××、火将軍(ジェネラル)×××××、そして現在『マテそば』で活躍中(?)の魔風神官(プリースト)シルフィード」

サ「うわぁ、ネタバレ禁止部分多すぎ……」

ニ「まあ、高位魔族はストーリーに密接に関係してるからねぇ……。この物語って、なにげに神族よりも魔族にスポットが当たってるんだよ」

フ「実際、『夜明けの大地』にも『高位魔族』は登場するのに、神族は一柱も出ないもんなぁ」

サ「ちょっとネタバレ気味になってきたから、そろそろ次の質問に移ろうか。次は『魔族の強さは見た目からはどうやって知るのか』だって。魔族繋がりだね。よろしく、ニーナちゃん」

ニ「いかに人間に近い姿をとれるか、それがすべてだよ。下級のフィーアやハルクの外見はああで、高位魔族のシルフィードや界王であるボクの外見はこうなんだから、もう見ただけでわかるでしょ!」

フ「胸張って力説してるところを悪いが、お前がシルフィードよりも強い理由がわからないぞ、いまの説明じゃ」

ニ「いやだなぁ、ファルカスくん。ボクよりもシルフィードのほうが強そうに見えるっていうの? そんなこと言わないよね? 言ったらもう一発<聖魔滅破斬(ワイズマン・ブレード)>お見舞いしちゃうぞ♪」

フ「…………。えっと、すみません。見た目だけで充分わかりました、ハイ」

ニ「よろしい♪」

サ「で、ね。その法則はさすがにわかってたみたいなんだ。質問してくれた人も。重要なのはここからなんだよ。……えっとね、『人間そっくりなら見た目の美醜で実力は上下しますか?』だって」

ニ「あ〜、それは基本、関係ないね。だってほら、美醜って結局のところ、個々人の価値観で決まるものでしょ? だから一見醜い人間の姿をとっているようでも、本人は『美しい』って思ってその姿をとっているのなら、ブサイクな男性型魔族が美しい美女の魔族よりも実力が上になるってこと。あ、もちろん人間の姿がわずかでも崩れれば力の低下に繋がるけどね」

フ「なるほど。だからニーナはこの容姿なのにシルフィードよりも実力が上なんだな。『美しい』よりも『可愛い』のほうがレベルが上だと思っているってわけか……」

サ「同じ女性型魔族でも胸のあるなしで実力に差がつくわけじゃないってことかな?」

ニ「そういうことだね! 人間の女性にも言えることだけど、胸がすべてじゃないんだよ! 重要なのは個々人の価値観なんだよ!」

フ「……力説したな。でも、もしコンプレックスになってるんだったら、もっとスタイルいい身体で具現化すればいいんじゃ?」

ニ「わかってないなぁ、ファルカスくん。もうボクのイメージは定着しちゃったんだよ。いまから『美人』になっても、かえって気味が悪いだけなんだよ」

フ「……確かに、な。いまスタイルのいいニーナを想像して、ちょっとショックを受けたよ……」

ニ「サーラさんじゃなくてボクをパートナーにするんだった〜って思っちゃうでしょ?」

フ「ああ。……って、なに言わせるんだよ! お前は!」

ニ「ファルカスくんが勝手に言ったんじゃ……。まあ、ともかく、ボクの外見はキミに恋愛感情を抱かせないようにする必要があったんだよ。だからファルカスくんがボクにときめかないのは当たり前なんだよ」

フ「……言ってて悲しくならないか?」

ニ「……ちょっとだけ」

サ「ええと、じゃあ次の質問にいこうか。あ、ファル、これ終わったら話があるから、忘れないでね」

フ「いまの会話、メチャクチャ気にしてる!?」

サ「次は質問は『術の威力が10分の1になる地球で、蒼き惑星(ラズライト)で使った際と同じ威力になるまで魔力を上げた場合、その状態で蒼き惑星に戻ったら10倍の威力になるのでは?』というものだね」

フ「理論的にはそのとおりだよな。で、可能なのか? 可能ならマルツもものすごく強くなって帰ってきそうだよな」

ニ「希望を砕くようで悪いけど、まず不可能だね。いや、なにが不可能かって、地球で蒼き惑星にいるときと同じ威力の術を使えるようになるのが、だけど」

サ「わたしのような聖戦士であっても、所詮は人間という器に縛られているわけだからね。一生地球で修行するにしても、果たしてどこまで魔力を上げられるか……」

ニ「まあ、一生かけて努力すれば、蒼き惑星で術を使う際の半分の威力を地球で出す、くらいなら出来るかもね。でもそれくらいが限界じゃないかな」

フ「じゃあオレが地球で、不完全版の<聖魔滅破斬(ワイズマン・ブレード)>を蒼き惑星で使うのと同じ威力・持続時間で使えるようになれば、蒼き惑星に戻ったときには10分の1の魔法力で使えるようになるけれど、まずそこまで達することは出来ない、と?」

ニ「そうだね。仮に出来ても5分の1が限界ってこと。まあ、地球と蒼き惑星に繋がりが出来てからは、蒼き惑星から魔力が流れてきてるのか、地球でもそこそこの威力の術を使えるようになってきてるわけだけど」

サ「じゃあ、今後『マテそば』でわたしの術の威力が飛躍的にアップすることがあっても、それはわたしの魔力が飛躍的に上がったからじゃなく、蒼き惑星から魔力が流れ込んできてるから、ということになるんだね」

ニ「正確に言うのなら、その可能性のほうが高い、だけどね。ともあれ、地道に魔力を上げるよりも、より威力の高い術を修得したほうが圧倒的に効率がいいことだけは確かなんだよね。<聖魔滅破斬(ワイズマン・ブレード)>以上の術はないじゃないか、と反論されるかもしれないけど、この術の完全版に関しては、そもそも本来なら人間の扱えるレベルの術じゃないわけだし。
さて、じゃあ、今回の質問はこんなもんだね」

フ「待て待て待てっ! 『暗闇の牙』に関する質問はどうなった!?」

ニ「あ、忘れてたよ」

フ「絶対に嘘だっ! ともあれ、『ブラッドが組織を作った理由』だっけか?」

サ「ファル、よく憶えてたね〜」

フ「忘れてたまるかっ! ええと、まあ簡単に言うなら、モンスター及び魔獣を絶滅させるため、だな。クラフェルに考えを誘導された感はあるけれど、ブラッドはモンスターが絶滅した世界イコール平和な世界と考えていたようだし。あ、これは蛇足だが、もっと力があれば、きっと魔族をすべて滅ぼそうとも考えただろうな」

ニ「さて、じゃあこれで全部かな?」

サ「そうだね。いや〜、長かったね〜」

フ「じゃあ、そろそろ解散か」

ニ「最後はボクによる『ザ・スペリオル』第二章の予告をするとするよ」

フ「勝手にしてくれ……」

ニ「カノン・シティに立ち寄ったファルカスくんとサーラさんは雪山へ! そこでボクと出会うことに!」

フ「自分の出番以外の見所はすっ飛ばしたな……」

ニ「ボクのキメゼリフ『運命は、定められた』が冴え渡る!!」

フ「パクるなよ! 本来は『真実は、奏でられた』だろ! というか、元ネタを知ってる人、いるのか……?」

ニ「ボクとファルカスくんたちの邂逅の物語『第二章 魔道士の弟子入り』、乞うご期待〜!」

フ「そのタイトル、やっぱりマルツとの邂逅の物語って感じがするぞ!」

ニ「ではまた会いましょ〜!」

フ「あっ! こら逃げるな〜!」

サ「それでは、皆さん。『マテそば』か『ザ・スペリオル』の第二章で会おうね〜」

フ「いいよな〜、サーラとニーナは。『マテそば』でもちゃんと出番があって……」

ニ「それじゃあね〜♪」



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